インフラ INFRA 2017

「インフラ INFRA」 は現代社会におけるインフラストラクチャー(基盤、基礎)の調査です。「現代」を測るインフラストラクチャーを考察し、インターネットの出現から劇的に変化しているアーティストや音楽家、パフォーマーの作品を位置付け、ナビゲートする環境を創造します。ベルリンを拠点とする音楽プラットフォーム3hd Festivalと、東京を拠点とするオンラインギャラリーEBM(T)がオーガナイズするインフラ INFRAは、組織化・商業化ベースの思考からアーティストを解いて、レクチャーやトーク、ワークショップ、パフォーマンス、音楽、芸術などのプログラムを通して、グローバルで多ジャンル、何にも帰属しない状態やそこから派生/交差する問いを投げかけます。「インフラ INFRA」は、ミュージシャン、アーティスト、そしてパフォーマーのためのものです。

インフラ INFRAでは認知度の低いアーティストにアクセスポイントを提供するとともに、彼らの意識を高め、自身の実践を発展させるための新たなテクノロジーの使い方や、インターネットでの循環可能な対話を提供します。インフラ INFRAは音楽、テクノロジー、現代アートの交わりの中で、アートの探求と促進を図り、その支えとなる新しい構造、スペースや手段の開拓を考えます。同時に、インフラ INFRAは全ての性別、アイデンティティーを持った人々を平等に扱い、特に女性に協力し、女性をサポートします。

絵画、彫刻、ビデオやインスタレーションなど、様々なメディアを代表するアーティストを招き、パフォーマンスやトークイベントを通し、新しい多様な視点から現代アート、そして、その先について探求します。

目標と背景

インターネットはアートと音楽に新しく生命を吹き込んだと言えます。インターネットは世界中でアーティストたちにエネルギーとコミュニケーションを与え、創造性を更新しています。中でもアートと音楽の関係は今まで以上に多様で曖昧なものとなり、簡単に区別をつけることができません。このアートと音楽の横断のために、新世代のアーティストはテクノロジーを用いながら、オンライン/ヴァーチャルにおける制作の複雑さや音の操作に注目しています。

アーティストによる実践は、多様な文化的背景や社会政治的状況に繋がっており、そこではクラブやアートに区別をつけ、アーティストの有り方を決める事が困難となってきています。そこで、「インフラ INFRA」ではヨーロッパや・アジアの新世代アーティストの東京への進出をサポートし、既存の型にはまらないハイブリッドなアーティストを紹介するとともに、現在ある多様性をより拡張して行きます。

東京とベルリンには未だ知られていない素晴らしい音楽や、アートシーンが存在します。特に日本は電子音楽の発展に大きな影響を及ぼしてきました。革新的な音楽制作技術やビデオゲーム、サンプリングカルチャー、ニッチなポップスは、常に未来の音の創造を刺激して来ました。このことは、未だ知られていないユニークなアーティストへの支援のためのプラットフォーム、「インフラ INFRA」を3hd FestivalとEBM(T)のコラボレーションにより設立するきっかけとなりました。多彩なコンサート/パフォーマンス/ワークショップ等のプログラムは、 原美術館、WWWß、アンスティチュ・フランセ東京、パークホテル東京にて開催され、同時に展覧会をはじめとする様々なテーマを対象としたプログラムが山本現代にて発表されます。また、ライブ配信によるカルチャーの発信地、Dommune(ドミューン)にて配信も行い、場所の制約や、オンライン⇄オフライン、垣根を超えた発表を行います。

プロジェクトパートナー

EBM(T)は2014年に日本のアーティスト、ナイル・ケティングと松本望睦によって設立されたオンラインギャラリー兼ヴァーチャルサウンドスペース。EBM(T)はイメージと音、時間と空間の関係性を日英表記でバーチャル展覧会を開く事により追求する。これまでに14ものサウンドプロジェクトがこのオンラインプラットフォームにより実現された。最近では、グループ展『ポスト・インターネット世代の感性』を東京都現代美術館にてキュレーションし、着信音のプロジェクト 「FUKU-TONE®︎」 をプロデューサー、ジェームス・フェラーロと共に実現した。共同設立者、松本とケティングはアートとサイエンスに挟まるポストインターネットの考え方、人工知能、クラブカルチャー、音楽、詩、ビデオゲームに対し共通の熱意を持つ。

3hd Festival – 音楽とデジタル文化の交差点について
3hd Festivalはジャンルを超えたものを祝して、イベント・オーガナイザー、ダニエラ・ザイツは2011年より、アニア・ヴァイグルと共にCreamcake(クリームケーキ)としてベルリンを拠点にライブや展覧会をプロデュースしてきた。Creamcakeの活動を通して、ベルリンをよりデジタルカルチャーとアートの交点にある音楽にとって持続可能な場所として推進させている。キュレーターとして、ベルリンにこだわらず世界中の新進アーティストのサポート、紹介に力をそそぐと共に、近年のポスト・インターネット音楽の発展に注目する。2015年からは、共催者として、毎年3hd Festivalを開催する。Creamcakeと3hd Festivalは奇妙と虚心を持ちつつも、これまでにベルリン芸術アカデミー、ベルリンHAU劇場、クンストフェライン・ミュンヘン、Südblockなどといった由緒ある施設と関係を持ってきた。2016年からは、Creamcake / 3hd Festivalより音楽レーベルをはじめ、coucou chloe、COOL FOR YOU、SKY H1、Keiska、33 Boyzなど話題となるリリースを発表してきた。彼女たちの活動は地域的、国際的コミュニティーの発展を可能としてきている。